ノートPC・スマートフォンの性能を正確に測るには:電源、発熱、バックグラウンドアプリのチェックリスト

同じ端末なのにベンチマークのスコアが毎回違う原因は、電源モード、発熱によるスロットリング、バックグラウンドアプリです。測定前のチェックリスト、クイック測定・標準測定・ストレステストの選び方、複数回測定して比較するコツをまとめました。

ノートPCやスマートフォンでベンチマークを実行したら、昨日と今日でスコアが違う、同じ機種を使っている友人とも差がある。そんなときは、端末の故障ではなく、測定条件が違っていた可能性が高いです。ブラウザーのベンチマークは、端末がその瞬間に出せた速度をそのまま示すため、電源の状態や温度、そのとき動いていた他の作業までスコアに反映されます。この記事では、Web Benchで性能を測るときにスコアを揺らす要因、測定前に確認しておきたいこと、クイック測定・標準測定・ストレステストの使い分けを順番に説明します。スコアはあくまで環境によって変わる参考値であることを念頭に置いてお読みください。

同じ端末なのにスコアが揺れる理由

ベンチマークのスコアは、チップの名前やスペック表から計算した値ではありません。実際の処理を実行して、かかった時間を測って得られる値なので、処理中に端末がどんな状態だったかによって結果が変わります。スコアが揺れる要因は、大きく4つに分けられます。

  • 電源の状態と電源モード:ノートPCがバッテリー駆動か充電器につないでいるか、OSの省電力モードやパフォーマンスモードがどう設定されているかによって、CPUとGPUが使える電力の上限が変わります。スマートフォンの低電力モードも同じ種類の制限です。
  • 発熱とスロットリング:端末は熱くなりすぎると、温度を保つために自分で速度を落とします。これをスロットリングと呼びます。最初は速いのに、負荷が長く続くほど遅くなる端末は少なくありません。
  • バックグラウンド処理:他のタブやアプリ、ファイルのダウンロード、クラウド同期、動画再生、セキュリティソフトのスキャンなどがCPUやメモリを分け合うと、スコアが下がります。
  • 画面とタブの状態:測定中のタブが隠れたり画面が消えたりすると、ブラウザーとOSはそのタブの処理を減らそうとします。この状態で出た値は、正常な測定とは言えません。

このほか、ブラウザーの種類やバージョン、ハードウェアアクセラレーションの設定、グラフィックスドライバーといったソフトウェア環境の違いも加わります。そのため、スコアを比べるときの基本原則は1つです。比較したい結果どうしは、できるだけ条件をそろえることです。Web Benchの結果画面にも「同じ端末でもブラウザー・電源・発熱によって変わるため、同じ条件の結果どうしを比較してください」という案内があります。

電源モード・発熱・バックグラウンドアプリがスコアに与える影響

電源は最も見落としやすく、しかもスコアを大きく動かしやすい要因です。ノートPCがバッテリーで動いているとき、OSは省エネのためにCPUやGPUの動作を制限することがよくあります。Web Benchのストレステスト画面にも、この場合の注意書きがあります。バッテリー駆動のときは、充電器をつなぐとバッテリー消費や電力制限によるスコアのぶれが小さくなります。バッテリー動作そのものを調べる場合を除き、測定前にはノートPCを充電器につないでください。

電源設定の名前や場所はOSによって異なりますが、確認すべきことはどこでも同じです。現在の設定が省電力、バランス、パフォーマンスのどれに寄っているかを見て、控えておいてください。次に測定するときに同じ設定にそろえないと、比較に意味がなくなります。電源モードでスコアがどれだけ変わるか知りたい場合は、その設定だけを変えて2回測定します。ほかの条件は同じにして、変えた点が唯一の変数になるようにしましょう。

発熱は、測定が長くなるほど影響が大きくなります。薄型のノートPCやスマートフォンは熱を逃がしにくいため、続けて何度も測定すると、後の測定ほどスコアが低くなることがよくあります。重いゲームや動画編集の直後に測定する場合も、最初から端末が温まっているので同じことが起こります。測定を始める前に、数分休ませて冷ましてください。

バックグラウンド処理は、目に見えるアプリだけではありません。別のブラウザータブで再生中の動画、自動アップデート、クラウドのファイル同期、メッセンジャーでのファイル転送もすべて含まれます。測定の前にこれらを一時停止するか終わらせておくと、測定ごとのばらつきが小さくなります。

画面スリープと非表示のタブも重要です。標準測定やクイック測定の途中でタブが隠れると、Web Benchはタブが隠れたことを知らせ、進行中のラウンドを破棄して、戻ってきたときにそのラウンドを測り直します。ストレステストでは、タブを隠したり画面を消したりすると実行が一時停止し、進行中の15秒の区間を破棄して、復帰時にもう一度測定します。これで不正な値が結果に混ざるのを防げますが、そのぶんテストが長引き、一時停止中に端末が冷えることもあります。いちばんよいのは、そもそもタブを隠さないことです。測定中のタブを最前面に保ち、画面を点けたまま、他のウィンドウに移らないようにしてください。

測定のたびに実行するチェックリスト

Web Benchの準備画面には、開始前のチェックリストとして、充電器を接続する、他のアプリとタブを閉じる、画面の明るさを一定にする、という3つの項目があります。ここまでの内容を加えると、次のような少し長いリストになります。

  1. 充電器を接続します。ノートPCは電源につなぎます。スマートフォンは、充電するかどうかを決め、毎回同じにします。
  2. 電源モード(省電力、バランス、パフォーマンス)を確認して、控えておきます。
  3. 他のアプリとタブを閉じます。ダウンロード、同期、動画再生、ビデオ通話など、CPUを使うものは終わらせます。
  4. 画面の明るさを一定に設定します。明るさが自動調整される場合は、測定中は固定してください。
  5. 端末を冷まします。重い作業の直後であれば、数分待ってから始めます。
  6. ブラウザーを決めます。比較するときは毎回同じブラウザーを使い、必要なら更新しておきます。
  7. 測定中のタブを最前面に保ち、測定が終わるまでウィンドウを切り替えません。
  8. 通知を切ります。測定中の通知や電話が結果を乱すことがあります。

クイック測定・標準測定・ストレステスト:いつどれを使うか

Web Benchには、目的の異なる3種類の測定があります。違いは所要時間だけでなく、それぞれからわかる内容にもあります。

  • クイック測定(約30秒、代表的な項目):すべてではなく、選んだ代表的なテストだけを実行します。端末のおおよその位置づけを手軽に確認したいときや、設定を変えた効果をすぐ見たいときに向いています。
  • 標準測定(約2〜3分、全項目):CPU、メモリ、GPU、ブラウザー、ストレージのテストを幅広く実行します。各詳細テストのスコアは、準備運転のあとに3回測定した中央値から求め、カテゴリ別スコアと総合スコアはそれらの平均です。端末を把握したり、他の端末や設定と比べたりするための基準となる測定です。
  • ストレステスト(5分または10分):長時間負荷をかけ続け、15秒ごとにスコアを記録するので、性能が時間とともにどう変化するかがわかります。一瞬のピークではなく、端末が持続できる速度を示します。

初めての方は、まずクイック測定でおおまかな水準を確認し、詳しく知りたくなったら標準測定を実行してください。発熱や持続性能が気になる場合にだけ、ストレステストを加えます。標準測定にはオプションのAI測定もありますが、モデルのダウンロードと推論が伴うため、時間がかかり、メモリと電力もより多く使います。他の項目で十分であれば、オフのままで構いません。もう1つ覚えておいていただきたいのは、クイック測定と標準測定は方式が異なるため、結果を直接比べてはいけないということです。必ず同じ種類どうしで比較してください。

ストレステストで発熱による速度低下を読み取る

ストレステストでは、負荷対象(CPUマルチ、GPU、またはその両方)と、負荷をかける時間(5分または10分)を選びます。5分は15秒のラウンド20回分、10分は40回分に当たります。各ラウンドのスコアは記録され、時間軸のグラフに描かれます。ストレスのスコアは標準測定とは別の計算式で求めるため、両者を混ぜて比較しないでください。

結果で見るべき点は2つあります。1つ目は安定性で、記録された最も低いラウンドのスコアを最も高いスコアで割り、パーセントで表したものです。100%に近いほど、時間が経っても速度を保てていたことになります。2つ目はスロットリング開始時刻です。それまでの最高スコアより10%以上低い結果が2ラウンド続いたとき、その最初のラウンドがスロットリングの始まりだと推定します。高いところから始まり、段階的に下がって低い水準で落ち着くグラフは、端末が発熱のために速度を落としている典型的なサインといえます。ほぼ平らな線であれば、長い負荷にもうまく対応できている端末だと考えられます。

いくつか注意点があります。これらの値は温度センサーを直接読み取ったものではなく、性能の変化から推定したものです。CPU Compute Pressureに対応したブラウザーでは状態の変化も表示されますが、それも温度の測定値ではありません。バックグラウンド処理や省電力設定でも同じような低下が起こり得るため、曲線だけで端末が故障していると決めつけないでください。ストレステストの実行中は端末が熱くなることがあるので、熱すぎると感じたら、停止ボタンですぐに止めてください。

1回で済ませず、複数回測定して最近の結果と比べる

1回のスコアだけでは端末を語れません。同じ条件で2〜3回測定し、値の幅を見てください。値が数パーセントの範囲に収まっていれば信頼できます。1回だけ極端に低い、あるいは高い場合は、その回にバックグラウンド処理や発熱といった変動要因があったと疑うのが妥当です。最高スコアだけを記録するのではなく、普段の環境で測った幅を基準にしておくと、後の変化を比較しやすくなります。

Web Benchは、完了した直近20件の結果をこのブラウザー内にだけ保存し、サーバーには送信しません。結果画面の「最近の結果を比較」では、基準にする結果と比較する結果を選んで変化を確認できます。比較できるのは、採点バージョン、測定方式、GPU経路、AI経路、有効な項目が同じ結果だけです。条件が違って比較ボタンが押せない場合は、不公平な比較を防ぐための仕様です。保存先はブラウザー内なので、サイトデータを消去すると履歴も消えます。ブラウザーのストレージが使えない場合は、ページを閉じると結果が消えます。

最も正確な実験は、一度に1つだけを変えるものです。電源モードの効果を見たいなら、充電器、ブラウザー、明るさは同じにして電源モードだけを変え、最近の結果で2回分を並べて比較します。ドライバーやブラウザーの更新前後を比べるときも、同じ方法を使ってください。

スマートフォンを測るときのコツ

スマートフォンは本体が小さく薄いため熱を逃がしにくく、OSも強い省電力ポリシーを適用しがちです。そのため、ノートPC以上に条件の管理が重要になります。

  • 充電するかどうかを決め、毎回同じにします。充電中はバッテリーと本体の発熱が増え、結果が変わることがあります。
  • 低電力モードを確認します。オンのときは性能が制限されます。通常モードと低電力モードで1回ずつ測れば、省電力設定でどれだけ性能が犠牲になるかがわかります。
  • ケースを外し、涼しい場所で測ります。厚いケースは熱をこもらせます。
  • 画面を点けたまま、測定中のタブを最前面に保ちます。画面が消えたりタブが隠れたりすると、進行中の区間は破棄され、実行が一時停止します。
  • おやすみモード(通知オフ)をオンにします。測定中の通話や通知が結果を乱すことがあります。
  • まずクイック測定から始めます。発熱が心配なときは、先に短く確認してから、ストレステストに進んでください。

ストレステスト中は、スマートフォンがいつもより熱くなることがあります。様子を見ながら行い、不快に感じたらすぐに止めてください。結果をPNGカードとしてダウンロードして共有する場合は、先にカードに載っている端末のモデル情報を確認してください。

結果を解釈するときの注意点

  • スコアは参考値です。ブラウザー、電源モード、発熱によって変わり、端末の等級や品質を保証するものではありません。
  • 小さな差に意味を読み取らないでください。数パーセントの差は測定のばらつきの範囲内かもしれません。大きく違う項目に注目しましょう。
  • 比較は同じ条件でだけ行います。ブラウザー、方式、電源状態、GPU経路が違うと、どちらが優れているとは言いにくくなります。WebGPUとWebGL2の結果を同じ土俵に並べるのは、特に誤解しやすい例です。
  • マルチコアのスコアを、コア数やクロック周波数に直接換算しないでください。スコアは、ブラウザーが使うWorkerの数と、その同期の仕方に左右されます。
  • 結果が期待より低くても、すぐに不具合を疑わないでください。まず設定と環境を確認し、条件をそろえてもう一度測定しましょう。
  • スロットリングの時刻と安定性の数値は、性能の変化から推定したもので、実測した温度ではありません。

結局のところ、ベンチマークのいちばんよい使い方は、数字を自慢することではなく、自分の端末を変更の前後で、同じ条件のもとで比べることです。条件を管理して何度か測定すれば、数字の信頼性はぐっと高まります。

準備ができたら、下のリンクから測定を始めましょう。インストールもログインも不要で、すべてブラウザーの中で動作します。

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